ヨガで大切とされる「安定」はどうしたら得ることができるか。
Category ヨガ全般
ヨガのポーズの練習では、安定して快適であることが大切とされます。
この「安定」とはどんな状態で、どうすれば得ることができるのでしょうか。
それには私たちの身体がどうできているかにヒントがあります。
安定した姿勢とは
マットの上に座ってみましょう。
安定した姿勢で座れているでしょうか。
お尻がマットについている部分を目を閉じて感じてみましょう。
坐骨がマットについていて、脚はどうなっていますか?
膝は上がってないでしょうか?
この場合、お尻はマットに根差しているものの、上半身が姿勢を保たなければいけないような緊張感がある状態です。
そこで、膝がマットにつくように、脚を少し開いて座ってみると、明らかに安定感が増しているのを感じられるでしょう。
マットに接地している身体の面積が多い程、身体は安定します。
シャバーサナ(屍のポーズ)が究極のリラックスといわれるのは、どのポーズよりもマットとの接地面が多いからなのですね。
さて、座位では下半身全体が安定していると、上半身は自然に正しい位置に来ます。
これは立位のポーズをするときも同じです。
だから脚を置く位置は重要です。
それにより身体に安定感が生まれ、快適に練習ができるのです。
緊張感は柔軟性を低下させてしまいます。
自分で頑張ってポーズを維持するのではなく、必要な筋肉を必要な分だけ使うと、柔軟性も高まりつつ、筋力もついていく練習になります。
座っているときも同じで、下半身がしっかりと安定していれば、自分で背筋を伸ばそうとしなくても、すーっと自然に気持ちよく伸びている状態になります。
背筋を伸ばそうとすると、大抵の方は背中を反ってしまいます。
そして意外に沿っていることに気づかないことも多いのですが、この場合いつも自分が曲げやすい一点に負荷をかけているので、だんだんと不調へ繋がっていく恐れも出てきます。
でも、坐骨がマットにしっかりとつき、脚も安定していれば、背骨は負担なく伸びます。
丸まってもおらず、反ってもいない自然な状態です。
そこに自分の意志や意識で伸ばそうとすることは必要ありません。
背筋を伸ばそうとすると、パッと見は綺麗に見えますが、瞑想や呼吸法をするとなると疲れてしまいますね。
自分でつくり出す緊張感は本来必要がないのです。
安定しているかは目を閉じて感じ、確かめてみましょう。
もしも、座っているときに緊張感を感じたら、膝の下にクッションなどを置いてサポートすると心地よさが増します。
安定感はなぜ必要か
そもそも安定感とはどんなものでしょうか。
安定感=安心感ともいえます。
安心感がないと人は不安になりますね。
ソワソワしたり、心がざわざわしたり、なんだか緊張して力みのある状態になったり。
泣いている赤ちゃんはお母さんに抱っこされると安心して泣き止みますね。
その安心感はお母さんに包まれている感覚です。
私たちはもう大人になりましたが、感覚としては同じものをもっているのではないでしょうか。
大人だって抱っこされたい、包まれたいと内心思うことありませんか。
ふかふかの毛布に包まれるのって気持ちいいですよね。
包まれると安心するというのは誰しも感じることがあると思います。
そして、私たちの身体は地球の要素からできていますね。
前述のように、地球と接している面が大きいと、私たちは安定感を感じます。
お母さんに包まれているような安心感を得ることができます。
そういえば「母なる大地」という言い方をしますよね。
合唱曲『大地讃頌』の冒頭に、
“母なる大地の懐に 我ら人の子の喜びはある”
という歌詞がありますが、まさにそんな感じです。
それは自然の摂理で、私たちは自然の一部であるから大地にしっかり接すると安定感、安心感を感じるのでしょう。
余談ですが、おでこを床や机などにつけると人は安心するのだそうです。
不安なとき、迷っているときに無意識におでこを触る人もいます。
チャイルドポーズなどでマットにおでこを置くととても心地がよく、リラックスするのはそんな訳があるのですね。
まとめ
安心感があるからすくすくと成長していく子どものように、しっかりと大地に根付いて安定した下半身でこそ、上半身も自然な姿勢で伸びることができ、快適にポーズの練習ができるのです。
ポーズは形をつくるのものではなく、身体の中の感覚を研ぎ澄まし、安定感の中で練習しましょう。
その日一番安定して心地よいところがベストです。
そして、そのような練習は怪我を防ぐ安全な練習でもあります。